こんぶ採取主要道具
こんぶ採取に使用する主な道具
- こんぶは、昔も今も変わらず伝統的な道具を使い採取されています。
使用される道具は、こんぶの種類や時期、また、地域によっても異なります。
ここでは、それらの道具の種類や形状に合わせた使用方法、特性などをご紹介します。
こうした道具は、こんぶを傷めないよう、また、再生産につながるよう、漁業者の知恵と工夫によって培ってきたものです。
名称:柴捩り棹(シバネジリサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては通称『マッカ』とも呼ばれ、棹先がV字型形状になっているものです。 この棹先部分に、海中に繁茂しているこんぶを極力、根(カブ)に近い部分で挟み込み、回転させて抜き採ります。 こんぶに傷を付けずに採取するのは、漁業者の高い技術と経験の差が顕著に見られる部分でもあります。 主に採取されるのは、「まこんぶ」、「りしりこんぶ」、「らうすこんぶ」など幅広のものが対象です。 棹の長さは約2m~10m位で、水深に合わせ使い分けされていますが、長さを調整出来るものも普及しています。 材質については、様々なものが使用されていますが、特に棹先部分は、木製・鉄製・ステンレス製・塩化ビニール製など、漁業者によって拘りがあるようです。 この棹は、主に函館・稚内・羅臼地区で使用されています。 |
名称:鉤棹(カギサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 棹先がL字型形状になっているものです。 海中に繁茂しているこんぶを、棹先部分で掬い上げ、船に引き寄せます。 引き寄せたこんぶを選別し素手で抜き採りますが、乱獲防止のため、若すぎるこんぶを採取することは御法度です。 主に採取されるのは、「ながこんぶ」、「みついしこんぶ」など、比較的に長いものが対象ですが、浅瀬や干潮時にも多く使われています。 棹の長さは約4m~9m位で、水深やこんぶの種類に合わせ使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製のものや強化プラスチック製があり、L字型形状部分は木製・ステンレス製のものが一般的です。 この棹は、主に日高・釧路・根室地区で使用されています。 |
名称:鉤捩り棹(カギネジリサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 鉤棹のL字型と捩り棹のV字型を合せた形状になっているものです。 水深が深く、潮の流れが速い場所に繁茂しているこんぶを採取する際に使用されており、海中でL字型部分で掬った後、V字型部分に絡ませて回転させながら抜き採ります。 この道具は根(カブ)部分から抜いてしまうことが多く、翌年の繁茂に悪影響を及ぼす可能性が高く、漁協では使用場所・時期を制限して使わせています。 主に採取されるのは、水深が深い場所に繁茂している「ながこんぶ」が対象です。 棹の長さは約4m~10m位で、水深に合わせて使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製や強化プラスチック製があり、L字型形状部分は木製・ステンレス製、片柴部分は木製・強化プラスチック製・塩化ビニール製のものが一般的です。 この棹は、主に根室地区で使用されています。 |
名称:捩り棹①(ネジリサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては通称『シバ』・『カタシバ』とも呼ばれ、棹先が2股に分かれ、V字型に近い形状になっているものです。 水深が深い場所に繁茂しているこんぶを採取する際に使用されており、棹先部分に挟み込み回転させて抜き採ります。 この道具は一網打尽に採取されてしまうことで、翌年の繁茂に悪影響を及ぼす可能性も高く、使用時期を制限させ使用している地区が殆どです。 主に採取されるのは、「あつばこんぶ」、「ねこあしこんぶ」など、比較的深い場所に繁茂している種類が対象となっていますが、その他にはこんぶの裾枯れが進み短くなったこんぶを採取する時にも使われています。 棹の長さは約5m~13m位で、水深やこんぶの種類に合わせ使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製や強化プラスチック製があり、片柴部分は木製・強化プラスチック製・塩化ビニール製のものが一般的です。 この棹は、主に釧路・根室地区で使用されています。 |
名称:捩り棹②(ネジリサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 使用している地区では通称『カンザシ』と呼ばれている道具です。 この道具『カンザシ』とは、女性用髪飾りのかんざしに似ていることから付いた呼び名であり、棹先は以前、板状のものが主流でしたが、現在は改良されS字型形状のものが多く使われています。 水深が深い場所や採り残し場所などに繁茂しているこんぶを棹先に絡めて回転させて抜き採ります。 また、捩りの棹先に取り付け、使用している地区もあります。 この道具は一網打尽に採取されてしまうことで、翌年の繁茂に悪影響を及ぼす可能性も高く、使用時期を制限して使用させている地区が殆どです。 主に採取されるのは、「ながこんぶ」、「あつばこんぶ」、「ねこあしこんぶ」、「みついしこんぶ」など、比較的水深が深い場所に繁茂している種類が対象となっていますが、その他には裾枯れが進み短くなったこんぶを採取する時にも使用されています。 棹の長さは約4m~8m位で、水深に合わせ使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製や強化プラスチック製があり、『かんざし』形状部分は木製・強化プラスチック製のものが一般的です。 この棹は、主に日高・釧路地区で使用されています。 |
名称:掬い棹(スクイサオ) |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては、通称『魔法の鉤』とも呼ばれ、棹先が釣り針形状になっているものです。 繁茂にバラツキのある場所や採り残し場所のこんぶを棹先部分で掬い上げ、船に引き寄せます。 引き寄せたこんぶを選別し素手で抜き採りますが、乱獲防止のため、若すぎるこんぶを採取することは御法度です。 この道具は一般の棹に比べて長さが短く、棹先部分も小型であるため、小回りが利き、作業範囲が狭い船内や浅瀬に密集して繁茂しているこんぶを採取するには最適です。 主に採取されるのは、比較的浅瀬に繁茂している「ながこんぶ」が対象です。 棹の長さは約4m~6m位で、水深に合わせて使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製や強化プラスチック製があり、釣り針形状部分は鉄製・ステンレス製のものが一般的です。 |
名称:ぐりぐり棹 |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては、通称『ツブマッカ』・『バカ』とも呼ばれ、棹先が螺旋形状になっているものです。 海中に繁茂しているこんぶを、棹先部分に絡ませ、回転させて抜き採ります。 この手法は、1度に多く採取が出来る反面、こんぶに傷を付けてしまうことが多いことから、現在では使用する人が減って来ています。 主に採取されるのは、「まこんぶ」、「りしりこんぶ」など、幅広のこんぶが対象です。 棹の長さは約3m~9m位で、水深に合わせ使い分けされています。 材質については、柄の部分は木製で、螺旋形状部分は鉄製・塩化ビニール製のものが一般的です。 この棹は、主に函館・稚内地区で使用されています。 |
名称:マッケ |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては通称『投げマッカイ』とも呼ばれ、カワハギ釣り用の針に似ている傘針形状になっているものが主流であり、その他には以前より使用頻度は減っていますが、上記写真(左側)にある熊手形状のものもあります。 通常、時化等で抜けて海岸付近で漂流しているこんぶ゙を岸から沖へ投げ込み、ロープをだぐり寄せながら爪に引っ掛けて採る道具です。 熟練された人で約20m位まで遠投することが出来きるそうです。 材質については、たぐり寄せ部分は、合成繊維質のロープで、傘針形状部分は鉄製のものが一般的です。 この道具は、主に函館・日高・釧路・根室地区で使用されています。 |
名称:トッタリ |
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使用方法及び特性、主産地 水深が深い場所に繁茂しているこんぶを棹先部分に絡ませた後、U字形状部分(写真下側)を棹先付近と手元付近(写真上側)の柄にそれぞれ噛ませて船体に固定し、人力ではなく、波の力を利用してこんぶを抜き採る際に使われています。 この道具の形状・材質は漁業者によって多少異なり、主に釧路・根室地区で使用されています。 |
名称:箱メガネ |
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使用方法及び特性、主産地 ウニ漁等と同様に、船上から海中を覗き込み、こんぶ゙を採取します。 また、水中メガネの様な固定バンドがないため、ゴム部分を歯で噛みながら覗き込み位置を固定させて採取しています。 余談として、この手法によりこんぶ漁をしている漁業者は、入れ歯にならないように、自分の歯を大事にする人が多いと聞いています。 この道具は、主に函館・羅臼・稚内地区で使用されています。 |
名称:電動小型船外機 |
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使用方法及び特性、主産地 地域によっては通称『トメッコ』とも呼ばれ、船側面に取り付け、箱メガネで海中を覗き込みながら、こんぶを採る位置に船の微動を行います。また、風や潮の影響による船の動きを修正及び安定させています。 この機械は、主に函館・羅臼・稚内地区で使用されています。 |